Pioneer TS-T740 レビュー|アッテネーター追加で「なんちゃって3WAY」を調整

アッテネーター追加で「なんちゃって3WAY」を調整 自動車のオーディオ機材

TS-T740は、自分がかなり気に入っているツィーターです。ただ、正直なところ「付ければ簡単にいい音になる」というタイプではありません。金属系ドームらしい、かっちりとした高音が出て、音像定位もかなりクッキリしています。そこがTS-T740の良いところなんですが、その一方で高音が耳に刺さりやすい。なかなかのじゃじゃ馬です。自分の場合、最初はツィーターとドアウーファーの構成で使っていました。その後、ミッドレンジを追加して「なんちゃって3WAY」に変更。さらにツィーターへ-5dBのアッテネーターを追加し、最終的には8,000Hz付近をイコライザーで抑えて、ようやく自分好みのバランスになりました。

今回は、そんなTS-T740を実際に使って感じたことと、「なんちゃって3WAY」にしてどう変わったのかを書いていきます。

Pioneer TS-T740のスペック

まずはTS-T740のスペックです。

・インピーダンス:6Ω
・出力音圧レベル:90dB
・再生周波数帯域:1,500Hz~64,000Hz
・最大入力:180W(4Ω換算値)
・定格入力:50W(4Ω換算値)

付属のネットワークコードは、カットオフ周波数4,600Hz、-12dB/octです。このネットワークコードは、自分としてはかなり使いやすいと思っています。コードの途中にハイパスフィルターが入っているため、別体のネットワークを置く必要がありません。カーオーディオをDIYで取り付けていると、「このネットワーク、どこに置こう……」となることがあります。その点、コード側に組み込まれているので、設置場所で悩まなくて済むのは地味にありがたいところです。

ロータリー機構がかなり便利

TS-T740で気に入っているのが「ロータリー機構」です。取り付けた後でもツィーターの向きを変えられるので、実際に音を聴きながら角度を調整できます。ツィーターは、ほんの少し向きを変えただけでも高音の聞こえ方や定位が変わります。特にTS-T740は高音がハッキリ出るので、取り付け角度による変化も感じ取りやすいです。自分の場合も、まず取り付けてから音を聴き、少しずつ角度を変えて調整しました。ロータリー部分の動きもなめらかなので、取り付け後に調整できるのは助かります。「取り付け角度を失敗した!」というリスクを減らせるのは大きいですね。さらに、コードが本体内部を通る構造になっています。取り付け場所の下に穴を開ければ、配線を見せずにスッキリ設置することもできます。

TS-T740の音は「かっちり、クッキリ」

肝心の音ですが、TS-T740は金属系ドームらしい、かっちりとした高音が特徴です。音の輪郭がハッキリしていて、音像定位もクッキリしています。ボーカルや楽器が「ここにいる」という位置関係を感じ取りやすく、自分がTS-T740を気に入っている大きな理由のひとつです。ただ、このハッキリした高音が、そのまま扱いにくさにもつながります。自分の環境では、取り付けただけだと高音が少しキツく感じました。特に耳に刺さるような部分があるので、TS-T740は「取り付けて終わり」というより、「取り付けてから調整して仕上げる」タイプだと感じています。取り付け角度や音量レベル、イコライザーなどを調整しながら追い込んでいくことで、TS-T740の良さが出てきます。逆に言えば、細かい調整をせずに手軽に使いたい場合は、少し扱いにくく感じるかもしれません。

ミッドレンジを追加して「なんちゃって3WAY」化

Pioneer TS-T740 レビュー

そんなTS-T740ですが、その後、ミッドレンジを追加しました。いわゆる3WAY化です。……と言いたいところですが、本格的なマルチ3WAYではありません。自分の場合、ミッドレンジとTS-T740を同じチャンネルにつないでいるので、「なんちゃって3WAY」です。ここで問題になったのが、ミッドレンジとツィーターの音量バランスでした。TS-T740の出力音圧レベルは90dB。組み合わせるミッドレンジとの能率差もあり、ツィーターの音が強く感じられました。普通ならDSP側でツィーターのレベルを下げればいいのですが、今回はミッドレンジとツィーターが同じチャンネルです。ツィーターを下げるとミッドレンジも一緒に下がってしまいます。そこで、TS-T740側に-5dBのアッテネーターを追加することにしました。

-5dBのアッテネーターを入れてみた

ツィーター側に-5dBのアッテネーターを追加すると、ミッドレンジとの音量バランスはかなり良くなりました。「これならいい感じ」となったのですが、まだ気になるところがあります。それが8,000Hz付近です。全体の音量バランスは良くなったものの、8,000Hz付近だけが妙に強く感じられました。そこで最終的に、イコライザーで8,000Hz付近を少し抑えることにしました。すると、TS-T740のクリアな高音を残しながら、耳に刺さる感じをかなり抑えられました。もちろん、これは自分の車とスピーカー構成、取り付け位置での結果です。車内は反射も多く、ツィーターの取り付け位置や角度によっても周波数特性は変わります。なので、「TS-T740を付けたら8,000Hzを下げればOK」という話ではありません。あくまで自分の環境では、ここを抑えるとバランスが良くなったという話です。

ミッドレンジ追加前はタイムアライメントで沼にハマる

実はミッドレンジを追加する前、かなり悩んでいたことがあります。それがタイムアライメントです。TS-T740とドアウーファーだけで鳴らしていたとき、ボーカルの高音と低音で定位位置が微妙に違って聞こえていました。ボーカルを聴いていると、「高い音と低い音で位置が違わない?」という感じです。一度気になり始めると、これがずっと気になります。そこでタイムアライメントを何度も調整しました。ただ、使っているヘッドユニットのDSPがものすごく高性能というわけではなく、タイムアライメントの調整単位もそこまで細かくありません。「あとちょっと、もう少しだけ動かしたい。でも、そのもう少しができない」そんな状態でした。しかもTS-T740は定位がクッキリしています。本来なら長所なのですが、このときは逆にタイムアライメントの微妙なズレまで感じ取れる状態でした。ツィーターの定位がハッキリしているからこそ、ズレも目立つ。ここはかなり悩みました。

ミッドレンジを追加したら定位の悩みが解消

ところが、ミッドレンジを追加したら、この問題がほとんど気にならなくなりました。ミッドレンジが定位の中心になり、上のTS-T740と下のドアウーファーをつないでくれるようになったからです。その結果、ボーカルの高音と低音で定位位置がズレて聞こえる問題も、ほとんど気にならなくなりました。ミッドレンジ追加前は、TS-T740の定位の良さがタイムアライメントのズレを目立たせていました。それがミッドレンジを追加したことで、全体のつながりが良くなったように感じます。結果として、TS-T740のクッキリした定位を素直に楽しめるようになりました。

TS-T740の良いところ

自分が実際に使って感じたTS-T740の良さは、やはりクッキリした音像定位です。金属系ドームらしい、かっちりした高音も特徴的で、音の輪郭がハッキリしています。そして、ロータリー機構もかなり便利です。実際に音を聴きながらツィーターの角度を調整できるので、カーオーディオを自分で追い込んでいく場合には使いやすい構造です。ネットワークコードにハイパスフィルターが組み込まれているため、別体のネットワークを置く場所に悩まなくていいのも、DIYで取り付ける側としてはありがたいところです。

TS-T740の悪いところ

一方で、やはり高音はキツめです。金属系ドームらしいハッキリした音が好みなら魅力になる部分ですが、取り付け位置や角度、組み合わせるスピーカーによっては、耳に刺さるように感じることがあります。そのため、自分としては「取り付けて終わり」ではなく、取り付け後の調整まで含めて楽しむツィーターだと感じています。手軽に交換して、そのままバランスの良い音を出したい人より、カーオーディオを自分で調整していきたい人のほうが、このツィーターの良さを引き出しやすいと思います。

TS-T740はカーオーディオの沼にハマりたい人におすすめ

Pioneer TS-T740を使ってみて感じたのは、このツィーターは「スピーカーを交換して簡単に音を良くしたい」という人より、カーオーディオを自分で調整して楽しみたい人に向いているということです。取り付け角度を変える。音を聴く。タイムアライメントを調整する。また聴く。イコライザーを調整する。そして、また聴く。自分の場合は、そこからミッドレンジまで追加して「なんちゃって3WAY」に発展してしまいました。最終的には、ツィーター側に-5dBのアッテネーターを入れ、さらに8,000Hz付近をイコライザーで調整。そうやって追い込んでいった結果、最初に悩んでいたボーカルの定位問題もほとんど気にならなくなりました。

TS-T740は、ポン付けで簡単に完成するタイプではないかもしれません。でも、「もうちょっと良くできるんじゃないか?」と考えながら、取り付けては調整し、聴いてはまた調整する。そんなカーオーディオの沼にハマっている自分としては、かなり楽しめるツィーターでした。

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