カーオーディオの音質改善といえば、まず思い浮かぶのがドアのデッドニングではないでしょうか。自分もこれまでいろいろとやってきましたが、今回はドア全体ではなく、スピーカー周辺を狙って制振してみました。いわゆる「ポイント制振」です。今回の狙いは、スピーカーの振動によってドア側へ伝わる余計な振動を抑えること。さらにスピーカー背面には制振材と拡散シートを施工して、中低域の明瞭度アップも狙います。実際に施工して音を聴いてみると、低域の輪郭がスッキリし、ボーカルも以前より聞き取りやすく感じました。今回は、実際にどこを施工したのか、そして音がどう変わったのかを紹介します。
ドアスピーカー周辺の制振が重要な理由
スピーカーは振動板を動かして音を出しています。その反作用の力は、スピーカーを固定しているドア側にも伝わります。特にミッドウーファーは、ドラムやベース、男性ボーカルなど、エネルギーの大きい音域を担当します。そのため音量を上げるほど、スピーカーだけでなく周囲のドアも振動しやすくなります。ドアの鉄板が共振すると、本来スピーカーから出ている音に、ドア側の余計な振動が加わってしまいます。これが、
- 低音のぼやけ
- 音の輪郭の甘さ
- ボーカルの滲み
- ビビリなどの不要な振動音
につながることがあります。せっかくスピーカーを交換しても、取り付けている側まで一緒に鳴ってしまえば、ちょっともったいないですよね。そこで今回は、スピーカー周辺から重点的に対策していきます。
スピーカー取付部をポイント制振
最初に施工したのが、スピーカー取付部の周辺です。

スピーカーのすぐ近くを中心に、制振材を貼りました。今回、自分が意識したのは施工面積よりも施工位置です。ドアの構造上、どこでも自由に貼れるわけではありません。だからこそ、スピーカーの振動が伝わりやすい場所を優先しました。制振材を使うときは「何枚貼ったか」も気になりますが、それ以上に「どこへ貼ったか」が重要になる場合があります。今回は、スピーカーの取付部周辺を狙って施工しました。
スピーカー背面のアウターパネルを制振
次に施工したのが、スピーカー背面にあたるアウターパネルです。ここにも制振材を施工しました。スピーカーのすぐ後ろにある鉄板なので、振動の影響を受けやすい部分です。ここを制振することで、スピーカー背面側の鉄板が余計に振動するのを抑えることを狙っています。
スピーカー背面に拡散シートを追加
スピーカー背面に施工したのが拡散シートです。

制振材を貼ったその上に拡散シートを重ねて貼り付けています。拡散シートの表面には凹凸があります。スピーカー背面から出た音が、この凹凸によって反射の仕方を変え、音をさまざまな方向へ分散させるという考え方のシートです。以前は、スピーカー背面に吸音材を施工して反射音を吸収する方法もよく使われていました。それに対して拡散シートは、素材で吸収できなかった反射音を拡散させる方向のアプローチです。
今回は中音域の改善を狙って、自分はこちらを試してみました。もちろん、施工すれば必ず音が良くなるというものではありません。ドアの構造やスピーカーによっても結果は変わるので、ここはあくまで自分の環境で試してみた結果として見てもらえればと思います。
スピーカー設置面の裏側も制振
もう一カ所、制振材を追加したのがスピーカー設置面の裏側です。

スピーカーが前後に動けば、その反力は取付面にも伝わります。そこで、設置面の裏側にも制振材を追加しました。見えない場所ですが、こういうところまで手を入れられるのがカーオーディオDIYの面白いところです。
施工後の音を聴いてみた
施工が終わったところで、いつものように音を聴いてみます。今回、一番分かりやすかったのは中低域の変化でした。以前より低音が「ボワッ」と広がる感じが少なくなり、ドラムやベースの音が締まった感じがします。低音の量が増えたというより、音の輪郭が分かりやすくなった感じです。そして、ボーカルも聞き取りやすくなりました。特に男性ボーカルでは、声が楽器の音に埋もれにくくなり、細かなニュアンスまで追いやすくなった印象があります。
ただ、スピーカー交換のような劇的な変化ではありません。「おお、別物になった!」という感じではなく、「なんか前より聴きやすいな」というくらいの変化です。でも、いつも聴いている曲を流していると、その違いがじわじわ分かってきます。ベースラインを追いやすくなったり、ボーカルの位置が分かりやすくなったり。こういう小さな変化を積み重ねていくのが、カーオーディオのチューニングでは結構重要なんですよね。
ポイント制振をやってみて分かったこと
今回やってみて面白かったのが、制振材を貼る場所を考えることです。ドアの制振というと、どうしても「広い範囲にたくさん貼る」というイメージがあります。もちろん、それも一つの方法です。ただ、施工できる場所が限られているなら、スピーカーの動きやドアの構造を見ながら、狙う場所を決めることができます。今回はスピーカー取付部、背面のアウターパネル、取付面の裏側を中心に施工し、さらに背面へ拡散シートを追加しました。全部を一度に施工するのではなく、「ここを変えたらどうなる?」と考えながら手を入れていく。こういうやり方なら、施工の狙いもはっきりしますし、音の変化も確認しやすいです。
まとめ
今回は、ドアスピーカー周辺を中心にポイント制振を行ってみました。自分の環境では、施工後に中低域の輪郭が分かりやすくなり、ボーカルも以前より聞き取りやすく感じました。特に印象的だったのは、低音の量そのものが増えたというより、ベースやドラムの音を追いやすくなったことです。
制振材や拡散シートは、施工すれば必ず同じ結果になるわけではありません。車両やドアの構造、スピーカー、取り付け状態によっても変わってきます。だからこそ、自分はこういうDIYを試すのが面白いと思っています。「ここを触ったらどう変わるんだろう?」そんなところから始めて、実際に音を聴いて確認する。今回のポイント制振も、そんな試行錯誤の一つでした。ドアスピーカーの音をもう少しスッキリさせたい人や、中低域の見通しを良くしたい人は、スピーカー周辺のポイント制振を試してみるのも面白いと思います。
※ 今回使用している部材はこちら。
※ ラゲッジスペースの制振をしています。

※ シート下も制振をしています。

