これまで、
- 「なぜコンデンサーで低音がカットできるのか」
- 「じゃあローパスフィルターは? コイルの役割」
について調べてきました。それぞれの役割は分かったのですが、新しい疑問が出てきました。「どの周波数でカットするかは何で決まるんだろう?」。コンデンサーには「4.7μF」「6.8μF」「10μF」、コイルには「0.22mH」「0.33mH」「0.47mH」など、いろいろな値があります。この数字は何となく決められているわけではありません。調べてみると、カットする周波数を決めるための大切な数字だということが分かりました。
コンデンサーは容量で決まる
前回調べたように、コンデンサーは低音を通しにくく、高音を通しやすい部品です。では、どこから高音を通し始めるのでしょうか。それを決めるのが、容量(μF:マイクロファラッド)です。調べてみると、
- 容量が小さいほど高い周波数から通す
- 容量が大きいほど低い周波数まで通す
ということが分かりました。つまり、コンデンサーの容量を変えることで、高音の範囲を変えられるということです。
コイルはインダクタンスで決まる
一方、コイルは高音を通しにくく、低音を通しやすい部品です。ここで出てくるのが、インダクタンス(mH:ミリヘンリー)という値です。インダクタンスとは、電気の流れが急に変わるのを抑える力の大きさを表す値だそうです。音楽の信号は、周波数が高くなるほど電気の変化が速くなります。コイルは、その変化を抑える性質があるため、高い周波数ほど通りにくくなります。その結果、
- インダクタンスが小さいほど高い周波数まで通す
- インダクタンスが大きいほど低い周波数だけを通す
という違いが生まれます。つまり、コイルのインダクタンスを変えることで、低音の範囲を調整できるということです。
部品の値だけでは決まらない
ここまで調べていて、自分は「10μFなら必ず4kHzになる?」と思いました。でも、実際はそうではありませんでした。もう一つ関係しているのが、スピーカーのインピーダンス(Ω)です。例えば、同じ10μFのコンデンサーでも、
- 4Ωのスピーカー
- 8Ωのスピーカー
では、カットする周波数が変わります。つまり、クロスオーバー周波数は、
- コンデンサーの容量
- コイルのインダクタンス
- スピーカーのインピーダンス
この3つの組み合わせで決まるということです。
計算式でも求められる
さらに調べてみると、カットする周波数は計算でも求められることが分かりました。
コンデンサーの場合は、
f = 1 ÷ (2πRC)
コイルの場合は、
f = R ÷ (2πL)
という式になります。この式に出てくる記号は、それぞれ次の意味です。
- f … カットする周波数(Hz)
- R … スピーカーのインピーダンス(Ω)
- C … コンデンサーの容量(F)
- L … コイルのインダクタンス(H)
- π … 円周率(約3.14)
例えば、4Ωのツィーターに10μFのコンデンサーを使う場合は、
- R = 4
- C = 10μF(0.00001F)
を式に入れて計算すると、約4,000Hzになります。つまり、約4kHzから低音をカットし始めるということです。同じように、4Ωのウーファーに0.16mHのコイルを使う場合は、
- R = 4
- L = 0.16mH(0.00016H)
を式に入れると、こちらも約4,000Hzになります。意味が分かると、それほど複雑ではありません。部品の値とスピーカーのインピーダンスが分かれば、カットする周波数を計算できるということです。
調べてみて分かったこと
ネットワークに使われているコンデンサーやコイルの値には、すべて意味がありました。「ツィーターにはここから上の音を再生してほしい」、「ウーファーにはここまでの音を担当してほしい」という目的に合わせて、容量やインダクタンスが選ばれていました。コンデンサーやコイルの役割を調べ、その次にカットする周波数の決まり方まで理解すると、ネットワークの見方が少し変わってきます。こうして一つずつ調べていくと、「この部品にはどんな意味があるんだろう?」という視点で見るようになりました。もしこの記事が、同じように疑問を持っている方の参考になればうれしいです。
