カーオーディオで本格的な3WAY+サブウーファーを組もうとすると、6ch以上のDSPや複数のアンプが必要になり、費用も配線も一気に大掛かりになります。「4chヘッドユニットのまま、もう少し音を良くできないかな?」そう考えた自分が導入したのが、BLAM(ブラム)の52mmフルレンジスピーカー「LFR52」です。
本来はフルレンジとして使うスピーカーですが、今回は中音域を担当するミッドレンジとしてダッシュボードに追加しました。4chでは各ユニットを完全に独立制御する本格的な3WAYにはできません。そこで、ツィーターとLFR52を同じチャンネルで鳴らし、ドアウーファーと帯域を分担させる「なんちゃって3WAY+サブウーファー」という構成にしてみました。実際に聴いてみると、ボーカルの定位や中音域の表現が変わり、以前から気になっていた1250Hz付近の違和感も改善しました。今回は、変更前のシステム構成からBLAM LFR52を追加した理由、クロスオーバー設定、そして実際に聴いて感じた音の変化を紹介します。
変更前のシステム構成
BLAM LFR52を追加する前は、2WAY+サブウーファー構成でした。
クロスオーバー設定
ツィーター
- ハイパス:4600Hz(-12dB/oct)
ドアウーファー
- ハイパス:50Hz(-24dB/oct)
- ローパス:5000Hz(-24dB/oct)
サブウーファー
- ローパス:50Hz(-12dB/oct)
ツィーターは付属のパッシブネットワークを使用し、ドアウーファーはヘッドユニットのデジタルクロスオーバーで帯域を調整していました。この構成でも十分楽しめていたのですが、自分には気になる部分がありました。それが中音域です。ボーカルやギターなど、音楽の中心になる帯域までドアスピーカーから再生しているため、音像が低く感じます。さらに自分の車では、1250Hz付近でドアスピーカーによる音の干渉も気になっていました。「この中音域を別のスピーカーに任せたら?」ここから、今回の3WAY化を考え始めました。
BLAM LFR52をミッドレンジとして追加
そこで選んだのがBLAM LFR52です。LFR52は52mmのフルレンジスピーカーですが、今回は中音域専用のミッドレンジとして使用します。設置場所はダッシュボードです。ドアスピーカーよりも耳に近い位置から中音域を再生させることで、ボーカルなどの音像を前方の高い位置へ持っていくのが狙いです。

4chヘッドユニットでも3WAY化する方法
今回のシステムで一番のポイントが、4chしかないヘッドユニットをどう使うかです。本格的な3WAYなら、ツィーター、ミッドレンジ、ドアウーファーをそれぞれ独立したチャンネルで駆動して、個別にタイムアライメントやイコライザーなどを調整したいところです。しかし、今回は4chなので、その方法は使えません。そこで、チャンネルを次のように振り分けました。
- ツィーター+BLAM LFR52:左右2ch
- ドアウーファー:左右2ch
サブウーファーは別系統で接続しています。ツィーターとLFR52には同じチャンネルから信号を送り、パッシブフィルターとクロスオーバー設定によって、それぞれの担当帯域を分けています。各ユニットを完全に独立制御する本格的な3WAYではありませんが、帯域を整理することで、4chヘッドユニットでも3WAYに近い構成にできます。これが、「なんちゃって3WAY」です。
現在のクロスオーバー設定
現在は次の設定にしています。
ツィーター
- ハイパス:4600Hz(付属パッシブネットワーク)
ミッドレンジ(BLAM LFR52)
- ハイパス:1250Hz(-6dB/oct・ヘッドユニット)
- ローパス:4500Hz(-6dB/oct・パッシブフィルター)
ドアウーファー
- ハイパス:50Hz(-24dB/oct)
- ローパス:1250Hz(-24dB/oct)
サブウーファー
- ローパス:50Hz(-12dB/oct)
BLAM LFR52のハイパスはヘッドユニットのデジタルフィルター、ローパスには購入したパッシブフィルターを使用しています。ツィーターは、もともと付属していたパッシブネットワークをそのまま使用しました。これで、ドアウーファーは低域から中低域、LFR52は中音域、ツィーターは高域という役割分担にしています。
実際に聴いてみるとボーカルの位置が変わった
実際に音を出してみて、最初に気付いたのがボーカルの定位でした。再生した瞬間、「歌声の位置が上がったな」と感じます。以前はボーカルがドアスピーカーから鳴っているような、少し低い位置にある感覚がありました。それがLFR52を追加すると、ボーカルがダッシュボード中央付近から聴こえるようになりました。特にボーカルやギターなどの中音域が前方に集まったことで、音楽を聴いたときのステージ感も自然になりました。「目の前で演奏している」という感覚が以前より強く、今回の変更で一番分かりやすい変化です。
1250Hz付近の違和感も改善
もう一つ大きく変わったのが、1250Hz付近です。以前は、この帯域もドアウーファーが担当していました。ドアスピーカーは取り付け位置や向き、車内の反射、ドア内部の共振、左右の距離差などの影響を受けます。自分の車でも1250Hz付近に気になる音の減衰があり、音に少し不自然さを感じることがありました。そこで、この帯域をダッシュボード上のLFR52に担当させたところ、気になっていた違和感がかなり減少しました。ボーカルの存在感が出て、中音域も自然に聴こえます。
ドアウーファーの担当範囲も変わった
LFR52に中音域を任せたことで、ドアウーファーのローパスも5000Hzから1250Hzへ変更しました。これによって、ドアウーファーは低域から中低域に集中できます。実際に聴いてみると、低域側の音に厚みが出て、全体のまとまりも良くなったように感じます。ドアウーファーに広い帯域を担当させるのではなく、役割を絞ったことが音の変化につながったのだと思います。
本格的な3WAYとは違うけど、これはこれでアリ
もちろん、今回のシステムは本格的なDSPを使ったフルマルチ3WAYとは違います。ツィーターとLFR52を同じアンプチャンネルで鳴らしているため、それぞれを完全に独立して調整することはできません。それでも、4chヘッドユニットのままでここまで音の印象が変わるとは、自分でも予想していませんでした。新しいDSPやアンプを追加する前に、今あるシステムの帯域分担を見直してみる。今回の変更で、それだけでも音はかなり変えられることを実感しました。
まとめ
今回はBLAM LFR52をミッドレンジとして追加し、4chヘッドユニットで「なんちゃって3WAY+サブウーファー」にしました。一番のポイントは、ドアスピーカーが担当していた中音域をダッシュボード上のLFR52へ移したことです。その結果、自分が感じた主な変化は次のとおりです。
- ボーカルの定位が上がった
- 中音域が前方に集まった
- 1250Hz付近の違和感が改善した
- ドアウーファーの担当帯域を絞れた
もちろん、本格的なDSPを使ったマルチアンプ3WAYと同じことができるわけではありません。それでも、「4chヘッドユニットだから3WAYは無理」と諦めず、手持ちの機材と限られたチャンネル数で工夫してみると、音はしっかり変わりました。自分は今回の「なんちゃって3WAY+サブウーファー」で、カーオーディオは機材を追加するだけではなく、スピーカーの役割や帯域の分担を考えることも大切だと改めて感じました。
※ なんちゃって3WAYシリーズ

※ BLAM LFR52 はこちら。
※ パッシブフィルター はこちらを使いました。
